介護福祉士の転職とキャリアパスについて

介護業界の人手不足は深刻で、職場や待遇を選ばなければ仕事に困ることはほとんどないと言っても過言ではないでしょう。

特に介護福祉士は、介護の実務において唯一の国家資格としてどこの施設でも引く手あまたな状況になっています。

そのような介護福祉士が転職やキャリアパスについて検討する場合に、どのようなポイントがあるのかを見ていきましょう。

介護福祉士の転職はどのような選択が可能?

介護福祉士は、介護実務の唯一の国家資格として介護業界を支える大切な役割を担っています。

また、介護業界の人手不足から介護福祉士が活躍できる職場や働き方は、比較的選択しやすい状況になっていると言えます。

介護福祉士は今後、更に需要が高まる!

平成28年度から、介護福祉士国家試験の受験資格に「介護福祉士実務者研修」を終えていることが必須とされました。

それまでは3年以上の実務経験があれば受験することができたので、平成28年度以降受験者数が大きく減少した一因と言われています。

介護福祉士は、各種の介護保険サービスで「サービス提供体制強化加算」を算定する際に、必要な配置割合が定められています。

つまり、介護福祉士の資格取得者はどこの施設・事業所でも加算算定のために必要とされていることから、資格取得者は厚遇される要因となっています。

実際、各種の求人を見ると介護福祉士資格取得者のみを募集している施設などもあり資格の有無で大きく待遇が変わる実態があります。

【介護福祉士国家試験 受験者数と合格者数】

受験者数 合格者数
第31回(平成30年度) 94,610人 69,736人
第30回(平成29年度) 92,654人 65,574人
第29回(平成28年度) 76,323人 55,031人
第28回(平成27年度) 152,573人 88,300人
第27回(平成26年度) 153,808人 93,760人

介護福祉士国家試験の結果について】厚生労働省より

転職マーケットが売り手市場の介護業界!介護福祉士が活躍できる職場は?

介護業界の求人倍率は、平成30年6月度に3.72倍(1人の求職者に対して3.72の求人がある)と他の産業と比較しても特筆して高い数字となっています。

また、2025年には55万人の介護人材が不足すると言われています。

介護福祉士が活躍できる職場は、介護施設・介護事業所にとどまらず最近では病院などでも介護の専門家として募集をしているケースもあり活躍できる職場は以前にも増して増加しています。
福祉・介護人材の確保に向けた取組について」より(厚生労働省)

介護福祉士の転職、提供サービスによる待遇の違いは?

介護福祉士として転職する場合でも、提供されるサービスにより待遇は大きく異なります。

厚生労働省の調査によると、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など入所系のサービスでは給与が高い傾向があり、訪問・通所系のサービスは入所系と比較すると高くないという結果になっています。

介護福祉士の利点としては、その時の生活環境(子育てや家族の介護など)に応じて、夜勤や交代勤務の有無など働き方を選択することが可能、という点があげられます。

【平成29年度サービス別 給与の違い(常勤・月額)】

介護福祉士 介護職員
特別養護老人ホーム 362,717円 347,941円
介護老人保健施設 343,178円 325,865円
訪問介護 304,324円 287,648円
通所介護(デイサービス) 309,720円 285,390円
特定施設入居者生活介護 353,532円 327,756円

平成29年度介護事業経営実態調査】より(厚生労働省)

介護福祉士のキャリアパスはどのようなものがある?

介護に伴う資格は、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)、介護福祉士実務者研修、介護福祉士国家試験と難易度や経験に応じてステップアップしていくことが可能です。

最近では介護福祉士受験資格の変更もあり、働き始めてから資格取得を目指すことは金銭的にも時間的にも非常にハードルが上がっています。

介護福祉士取得後にステップアップを目指せる資格

介護福祉士のステップアップ・キャリアアップを資格等の視点から見てみたいと思います。

「介護支援専門員(ケアマネジャー)」

介護福祉士のキャリアアップとして、最も目指す人が多い資格は介護支援専門員ではないでしょうか。

多くの施設で、介護支援専門員資格に対して資格手当の支給も行われています。資格取得を目指すことにより介護技術のみならず、介護保険制度や様々な知識を付けることもでき日々の介護にも活かすことが出来る資格です。

「認定介護福祉士」

介護福祉士の上位資格として、認定介護福祉士という民間資格があります。

一定の実務経験を積んで試験や研修を終えることで資格を取得することが出来ます。

介護保険の点数での評価や配置義務はないため、あまり一般的に広がっている資格とまでは言えませんが取得することにより知識や技術の証明となり資格取得を助成する法人も出てきています。

他の職種や事業所の責任者を目指す

次はキャリアパスの視点で見てみたいと思います。

「介護リーダーや事業所の責任者を目指す」

どこの施設でも、介護職員のリーダーを定めていることが一般的です。

ユニットリーダーやフロアリーダー、介護主任、介護課長など施設により名称は異なりますが、小さな施設では入職して数年で役職に就くチャンスが回ってくる場合も少なくありません。役職に就くことで、イチ介護職員では見えないことが見えてくる場合もあります。

長く介護福祉士として頑張るつもりなら、責任を持った役割を出来る限り早く務めることはその後の自分の成長にも繋がります。

「生活相談員やケアマネジャーなどの他の職種を目指す」

介護福祉士のキャリアパスとして、経験を活かして他の職種を目指すということもひとつの選択です。

特に関連する生活相談員やケアマネジャーなどは、介護福祉士から異動する方が多い職種です。

どちらも介護福祉士と比較して、上下がある訳ではありませんが違う側面から高齢者を支える仕事で介護福祉士の経験を活かすことが出来る仕事です。

介護福祉士の将来性は?特定処遇改善の始まりで収入が増える?

介護業界の人手不足は深刻で、需要の高まりと共に給料は上がっており将来性は高いと言えます。

また2019年10月には介護保険制度の改定で、特定処遇改善加算がスタートします。
この加算では、主にリーダー級、経験・技能のある介護職員に対し月額8万円程度の処遇改善を行う制度となっています。

以前から介護職員の待遇については、給料が低いことが問題視されており介護保険制度において処遇改善加算というかたちで強制的に待遇改善が図られてきています。

介護福祉士の果たす役割は大きい

介護業界では、AIやロボティクスの導入の推進、人手不足から外国時労働者の受入れを行うなど様々な問題が山積しています。

どんなに技術が進展しても、人が人に行う介護という仕事は無くなることはないでしょう。

また、介護福祉士の役割は、ただ漫然と介護を行うだけではなく生産性の向上や介護職員の中でのリーダーシップを期待されています。

介護福祉士の資格は取得して終わりというものではありません、自分から様々な情報を取得するなどスキルアップを図っていくことも大事になります。

介護福祉士としてキャリアアップや転職をお考えの方は転職エージェント等に相談してみるというのも一つの手かと思います。

多くの介護福祉士のキャリアパスや事例を見ていますので、参考になる意見、良い職場の紹介が受けられる可能性は高まります。

転職エージェントや転職サイトのご利用をお考えの介護士の方は是非以下の記事も参考にしてみてください。

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