介護福祉士の資格は就職・転職で有利に働くのか?

介護福祉士は介護職として活かすことの出来る唯一の国家資格です。

資格制度の変更から、以前と比較して介護福祉士取得のハードルが上がっています。

介護施設の数は、以前と比較すれば施設数の延びも緩やかになっていますが新しい施設もまだまだ出来ているのが実状です。

施設の数が増えれば、必要な介護職員の数も増加していきます。介護福祉士という資格は、就職や転職で有利になるのでしょうか?

介護福祉士の資格者は就職・転職で有利です!

介護福祉士資格を持っている人は、就職や転職をする際に様々な面で有利になると言えるでしょう。

超高齢化社会で、介護のニーズは高まるばかりにも関わらず介護人材は常に不足しています。

介護福祉士は、介護職として頑張っていく証明になることにとどまらず、国家資格として介護業界を引っ張っていっていくことを期待された資格となっています。

介護福祉士は経験や技術の証明になる!

介護福祉士は介護系資格の中で唯一の国家資格です。

なお、上位資格と言われる介護支援専門員も国家資格ではありません。

以前と比較して介護福祉士資格を取得するためのハードルが上がっており、平成27年度までは介護職として実務経験3年以上で受験資格を得られたものが、平成28年度からは介護福祉士実務者研修の修了が必須とされました。

また平成28年度までは介護福祉士養成施設(専門学校等)を卒業すると介護福祉士資格を取得できていたものが、平成29年度からは卒業後に国家試験を受験することが必須とされました。(一部、経過措置あり)

このように、資格取得のためのハードルが上がることは資格取得が難しくなると同時に、求職者にとってはこれまでの経験や技術・知識の証明に繋がり資格を持たない人との差別化に繋がることになり就職や転職にとって有利になると言えます。

介護福祉士を持っていて実務についている人は60%以下しかいない!

福祉・介護人材の確保に向けた取組について(厚生労働省)P.55」によると、平成28年度の介護福祉士登録数約150万人のうち介護福祉士として実務に従事するのは約82万人の55.5%にとどまります。

毎年、資格試験の合格者数は増えていきますが実務に就いている割合は横ばいなので、一定数が介護福祉士の実務から離れていることが分かります。

資格取得者が大きく増えなければ、資格取得者の市場価値は上がり転職や就職では有利に働きます。

介護人材が大きく不足している

2025年問題と呼ばれる、団塊の世代が後期高齢者になる2025年度末には介護人材が55万人不足すると言われています。

介護福祉士に限らず介護職員の人材不足は深刻で、各自治体でも様々な取り組みが行われています。

例えば、介護福祉士養成施設入学者への修学資金貸付(奨学金)や再就職準備金として離職した介護職への貸付(一定期間の就労で返済免除)など国としても介護人材の不足は喫緊の課題と取られています。

介護人材が不足すれば、働く意欲のある人や転職希望者を獲得したい施設が増加します。需要はあっても供給が少なければ必然的に介護職員の待遇は良くなっていくことが想定できます。

その中でも、国家資格である介護福祉士を持っている方は、介護職員のリーダーとしてどこの施設でも必要となるため就職や転職では資格を持っていることは大きな有利になると言えます。

介護福祉士取得者の給料は、資格がない人よりも高い

介護福祉士資格を取得している場合は、資格がない人より給料が高い傾向が見られます。

多くの施設で、介護福祉士資格手当や基本給の違いなどがあるため、資格取得者は全体として給料が高くなります。

平成29年度介護事業経営実態調査(厚生労働省)」では資格の有無で月額2万円前後の賃金差となっており、資格の有無で最も賃金差がある通所介護では年間約29万円の賃金差があることがわかります。

2019年10月には、特定処遇改善加算が始まり「経験や技能のある介護福祉士等」に対してより手厚い処遇改善を行う制度がはじまり資格取得者とそうでない方の賃金差は更に開いていくことも予測されます。

賃金の差が大きいということは、それだけ介護福祉士資格取得者は必要とされており就職や転職をするにも有利であると考えられます。

【各サービス別 一人あたり給与費(正規職員・月額)】平成29年度介護事業経営実態調査(厚生労働省)より

特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 訪問介護 通所介護
介護福祉士 367,217円 343,178円 304,324円 309,720円
介護職員 347,941円 325,865円 287,648円 285,390円
19,276円 17,313円 16,676円 24,330円

介護福祉士資格取得者は事業所にとってもメリットがある

なぜ介護福祉士資格取得者は、就職や就職に有利と言えるのでしょうか。

施設により介護福祉士に期待することや介護福祉士の役割は異なりますが、大きな理由として施設側にもメリットがあるからということが言えるでしょう。

サービス提供体制強化加算の算定が可能

介護福祉士資格取得者を募集する理由は施設により様々です。

その中の大きな理由のひとつとして、加算算定が出来るという点があります。

例えば特別養護老人ホームの場合、介護職員の総数のうち介護福祉士の占める割合が60%を超えている場合には「サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ」として1人一日あたり18単位の加算を算定することが可能です。

100名定員の特別養護老人ホームの場合には月間で54万円(100名×18単位×10円×30日、1単位10円の場合)と大きな収入増に貢献します。
収入の増加を図ることが出来ることから、施設でも積極的に資格取得者を採用するということが言えます。

介護業界はよくなりつつある

介護業界を目指す若者が減っており、介護福祉士養成施設の定員充足率は44%と半数を切っていると言われています。

介護系専門学校の閉校や統合、他学科への変更など介護業界にとっては決して明るくないニュースも聞こえてきます。

一方、外国人労働者の受入れの推進など介護を支える人材を外国に求めるという状況も進んでいます。

介護福祉士は、介護施設の中で介護のリーダーとして力を発揮する重要な役割を担います。

以前と比較すると待遇も改善の傾向が見られ、ますます需要が高まることが予測される資格です。

なお、介護業界で働いてみたいとお考えの方がいらっしゃいましたら以下の記事もご参照ください。
現在の転職市況であれば資格取得していなかったり業界未経験であっても転職が可能で、資格取得を応援してくれる介護施設もございます。
本サイトが介護業界にチャレンジしてみたい方のお役に立てば幸いです。

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