特別養護老人ホーム(特養)は、終の棲家と呼ばれるように常時介護が必要な状態から亡くなるまで入所することが出来る介護保険の施設です。
全国に約1万施設があり、介護保険施設の中では最も多くの定員数を誇り最も入所希望者の多い施設です。
特別養護老人ホームでは日常の介護はもちろん、認知症ケアや看取り介護など幅広い役割を担い、多くの介護職員がその生活を支えています。
特別養護老人ホーム介護職員の仕事内容
特別養護老人ホームで働く介護職員は、入所する高齢者を24時間ケアする役割を担います。
入浴介助や排泄介助、食事介助などの介護はもちろん、機能訓練やレクリエーション、日々の記録や書類作成、家族や他の職種との会議や清掃などその業務は多岐に渡ります。
特別養護老人ホームは、原則として医師は常駐しておらず夜間帯は看護職員も不在となります。
介護職員が施設の中心として働く特別養護老人ホームは、スキルアップや様々な学び、やりがいを感じることが出来る職場と言えます。
施設によって異なる仕事内容
特別養護老人ホームは、「従来型施設」と呼ばれる多くの高齢者を集団で介護する施設と、「ユニット型施設」と呼ばれる小集団で馴染みの職員が介護する施設の2つに分けられます。
施設によって職員の配置人数や勤務の組み方、ケアの方法は異なります。
しかし、どこの施設にも共通しているのは高齢者の生活を24時間支援する仕事であるという点です。
特別養護老人ホーム介護職員はこんな人におススメの転職先
特別養護老人ホームで働く介護職員は、どのような人に向いているでしょうか。
認知症ケアを学びたい介護士
特別養護老人ホームには、認知症の高齢者も数多く入所しています。
2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると言われており、認知症ケアは将来的にも役立つ経験になります。
そのため、認知症ケアを学びたい介護職の方が転職するケースも多くなっています。
介護技術を学びたい
特別養護老人ホームは原則として要介護3以上でないと入ることは出来ません。
他の介護施設と比較すると介護度の高い方が多く、その分ケアは大変ですが介護技術の習得に繋がります。
介護技術を積極的に学びたい方にもおすすめの転職先となります。
高齢者と密に関わりたい
特別養護老人ホームは入所施設のため、通所や訪問のように限られた時間の中で業務をこなす介護とは異なります。
もちろん時間内に行う業務も多くありますが、高齢者と密に関わることが出来る職場であると言えます。
他の職員との連携が取れる
特別養護老人ホームは介護職員のみならず看護職員、生活相談員など多くの職員で高齢者を支えています。
他の職員と連携を持って働ける職員におススメしたい職場です。
特別養護老人ホームは安定した職場環境
特別養護老人ホームは他の介護施設と比較すると比較的待遇面で良い施設が多くあります。
決して楽な仕事ではありませんが、今後も高齢者は増え続けることが明らかで安定した職場と言えます。
介護の仕事でも安定した働き方を求める方にはおすすめの転職先です。
特別養護老人ホームでの働き方
最近では介護職員の働き方も多様化しています。
特に特別養護老人ホームは、大きな規模の施設が多く、たくさんの職員で高齢者の生活を支えています。
フルタイムで働く正職員のみならず、日勤帯を中心とした働き方や短時間のパート職員、夜勤を中心とした夜勤専従など様々な働き方が可能な点も特別養護老人ホームの魅力です。
また、施設によって働き方も異なり、夜勤についても、夕方から翌朝までの長時間の夜勤体制の施設もあれば、夜中に職員が交代となる夜勤体制を取っている施設もあります。そのような働き方の違いも、転職先を探す際のポイントとなります。
特別養護老人ホーム介護職員の待遇・給与は?
特別養護老人ホームの介護職員は、他の介護サービスと比較すると待遇面では恵まれていると言われます。提供するサービスにより、交代勤務・夜勤の有無、業務内容が異なるため一律に比較をすることは出来ませんが、統計上は他のサービスと比較すると給与面では良いことが分かります。
サービス名 | 一月あたり給与(賞与含む) |
特別養護老人ホーム | 34万7,941円 |
介護老人保健施設 | 32万5,865円 |
訪問介護 | 28万7,648円 |
通所介護(デイサービス) | 28万5,390円 |
短期入所生活介護(ショートステイ) | 33万7,043円 |
(厚生労働省:平成29年介護事業経営実態調査結果より)
特別養護老人ホームの多くは、社会福祉法人と呼ばれる法人が運営をしています。
社会福祉法人は公益性の高い事業(福祉や介護、保育など)を運営する法人で、非課税措置や補助金の交付、社会福祉法人のみが加入することが出来る退職金制度など優遇されている面があります。
特別養護老人ホーム介護士の将来性
特別養護老人ホームのみならず、介護職員の不足は社会問題となっています。
そのため、処遇改善加算の増額などにより介護職員の待遇は徐々に改善されてきています。
ある調査では介護職員の給与が介護支援専門員(ケアマネジャー)の給与を上回ったという結果も出ており、将来性のある職種と言えそうです。
これから介護士を目指す人にとっても良い環境が整う可能性もあり、転職をお考えの方にとっては良い時期に差し掛かってきているでしょう。
特別養護老人ホームでの介護士のキャリアアップ
特別養護老人ホームでは、介護職員のみならず生活相談員や介護支援専門員(ケアマネジャー)など様々な職種の職員が働いています。
資格や経験を活かし、相談業務、ケアマネ、事務職として介護保険の知識を活かす職員など同じ施設内でキャリアアップを目指せる所は特別養護老人ホームの魅力のひとつです。
特別養護老人ホームはおすすめの転職先
特別養護老人ホームでの仕事は決して楽なものではありません。
しかし、人生の最期を過ごす施設として入所者と密に接する仕事は、入所者や家族などから感謝をされるやりがいのある職場です。
特別養護老人ホームは、その後どんな介護サービスで働く場合でも経験を活かすことが出来る職場と言えます。
介護士として働く上でもキャリアアップしていく上でも良い職場の一つと言えるでしょう。
なお、特別養護老人ホームにもさまざまございますので、実際に転職をお考えの際は転職サイトや転職エージェントを利用し、情報収集されることをお勧めします。
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