転職活動では、内定の前後で、オファー面談や条件面談などと呼ばれる、転職後の細かい条件を詰める場が設けられることが多いです。
企業にもよりますが、オファー面談や条件面談の場は、あくまで転職者・求人企業側双方の条件を相談する場なので、選考要素はないケースが多いです。
面接中にも希望の給与やいつから入社できそうか?という話はあるかと思いますが、このオファー面談は、そうした各種条件を確定して、入社承諾に向けて最後の調整を行う場です。不安を残したまま承諾してしまうと、後々大きく後悔することにもなりかねないので、しっかり確認しておきましょう。
オファー面談で企業と調整するのは
・入社日の確認
・入社してから行う仕事内容やポジションの確認
・給与の確認
・休日や手当、福利厚生などの確認
が多いです。
この中で、仕事内容については、ある程度面接の中でお互いの思いを伝えあっている状況だと思います。主にはそれ以外の労働条件について調整を行うことになります。
入社日に関しては、概ね内定承諾から1カ月~2カ月程度が平均的となりますが、現職での役職や取り掛かっているプロジェクトの関係で、退職に時間がかかってしまうこともあります。そうした場合は、内定先企業にその旨を伝え、どのくらいの期間が必要か相談しましょう。私の場合、企業側の希望が1.5カ月でしたが、3カ月程度見てほしいと伝えたところ、応じて頂けました。
給与については少し注意が必要です。基本的に「前職での年収や経験・スキル・希望を考慮して当社規定に従って給与を決める」という企業が多いので、提示された金額は、現在のあなたのスキルと期待値、それに加えて面接中等に回答した希望年収から逆算した金額が基本的には提示されています。
そのため、給与に関しては、オファー面談時に交渉する前に、面接の際などに希望年収をどのくらいと伝えていたのかは、しっかり覚えておきましょう。
ただ、もし提示された給与がどうしても気になるということであれば、金額UPの交渉も可能な場合もあります。企業側があなたのことがどうしても欲しいと考えている場合には、相談にのってくれます。
現在の年収にもよりますが、論理的に説明がつけば、一般的に現年収から5%~10%前後の増加を希望することは大丈夫です。最近の傾向ですと、提示される金額がそもそも現年収より高めになることも多いです。
ただ、こうしたケースでは、あくまで経験やスキルが買われての転職のケースであり、ある程度実績が示せる場合です。
未経験や異業種への転職の場合は、当然ですが交渉が難しいケースが多いです。実力や適性がハッキリしない中、高額な給与を支払う企業はほとんどありません。
そのため、入社時の給与ではなく、例えば、2年後、3年後のモデル給与を聞いてみるのも良いでしょう。入社後、活躍することで給与が上がる方も多くいらっしゃいます。評価制度の有無や評価体制等についても確認しておくことをお勧めします。
実際に私が転職した際に交渉した事例をお話しすると、内定後のオファー面談で、現年収と同じ年収が提示されました。私の場合、スキルに自信はありましたが、担当予定のクライアントの業種の業務は未経験だったため、少し自身も無かったことから、入社後の年収については同意をし、「入社後求められる成果が上げられたときは、どのようなキャリアパスや評価がいただけるのか?」というような趣旨の質問をし、年収UPの事例や管理職へのキャリアパス、新しいことへの挑戦も可能なことをお話ししていただけました。実際に成果を上げることができ、2年目で20%年収が上がりました。目先の給与を気にするだけではなく、先のキャリアも見据えた質問をするとよいでしょう。
なお、他社から内定をもらっていて、そちらの年収が比較的高めに設定されている場合などは、交渉の余地があります。実際にオファー面談後、年収をあげて条件通知をしてくれた事例もあります。
その他、残業の頻度や福利厚生、諸制度の確認もしっかり行ってください。例えば、あなたが転職をする理由が、「休日出勤や多すぎる残業」であれば、会社や所属予定の部門の残業時間なども確認しておいた方が良いでしょう。
ここまで、様々な確認事項をあげさせていただきましたが、
なんでもかんでも質問・交渉すればいいというわけではありません。
条件交渉する際に注意してほしいこと
転職者側の視点に立つと、「年収が気になる」「産休・育休がとれるのかも気になる」「残業時間も気になる」「ボーナスの割合も気になる」「介護休暇も気になる」など、あれもこれも気になってしまうことはどうしてもあると思います。しかし、オファー面談の場だからと言って、あれもこれもむやみに質問するのはお勧めしません。
あなたの理想条件すべてを満たす企業は、残念ながらそうあるものではありません。人事担当者も人間ですので、欲張りすぎると、悪い印象を与えかねません。
オファー面談では、まず先方から通知される条件を聞いたうえで、あなたが転職する際に譲れないポイントを中心に交渉を行い、その他の条件はある程度譲歩することも重要です。
そのため、オファー面談や条件面談が行われる際は、改めて「なぜ転職するのか」を振り返り、譲れない条件をまとめ、優先順位を決めておきましょう。
先方が通知する条件とあなたの譲れない条件を照らし合わせ、交渉する部分は交渉をし、譲れる部分は譲るという姿勢も必要です。
入社してからこんなはずではなかったのにと後悔することのないように、オファー面談の場では給与や労働条件を始めとして、あなたが転職の際に譲れない条件はしっかりと確認しておきましょう。