電気技術者の転職と求人動向について

電気技術者の仕事内容

電気技術者の代表的な職業は電気工事士、電気主任技術者があります。この二つの資格の役割は電気工事士が工場や一般のビルディングの受電設備や一般家屋の電気工作物の電気配線工事を行うことを生業とする電気事業法で定められた業務です。
電気主任技術者は、受電設備の配線状況を保安・監督する業務です。ビルディング等の建物において、受電設備としての配電盤や当該建造物の電路工事を監督する業務を行うことが電気事業法で定められています。電気工事士、電気主任技術者これら二つの職業が一体となって、電力の安定供給や保安を確保する重要な国家資格と位置づけられています。 
日本国内では、台風等の風水害を除いて滅多に停電することはありません。電気はいわば空気や水のように存在して当然のような捉え方をされていますが、日本のように高品質の電力が停電することなく送電されている国は、先進国のなかでも日本が抜きん出ていることは間違いありません。高度IT化社会を縁の下で支え、高品質の工業製品を生産できるのは、品質の良い安定した電力が供給されていればこそ可能となります。
電力会社では原子力発電、火力発電、水力発電、太陽光発電等により発電した電力を、高度に連携された送電ネットワークにより送電し、需要家である消費者に良質な電力を届けています。受電する側では国家資格者である電気主任技術者が、当該電気工事が電気事業法に定める規程に基づき点検し、配電盤等受電設備を保安監督する業務を担当します。当該受電設備の配線工事や電路配線工事を、電気工事業法に定められた適正な電気工事を行っているのが電気工事士です。この両者が相まって高度に発達した工業化社会を電力安定供給の面から支えています。

電気技術職の転職市況

電気主任技術者、電気工事士の二つの国家資格は一生涯有効活用できます。電気主任技術者は電気設備が、電気事業法に則った受電設備の安全を担保するため当該設備を監督する業務です。
電気工事士は電気工事業法に則った電気工事を行っていますが、当該電気工事は業務の範囲が広く、送電鉄塔に送電線を張り巡らす電気工事から、一般のビルディングの屋内配線工事まで広範囲に及びます。これら二つの国家資格は、資格がないと当該業務に従事できない特徴があります。それだけ責任の重い業務であることを国家資格制度から読み取ることができます。
これら二つの国家資格は、最新の電気事業法、電気工事業法等関係法令の改正や、最新の技術動向にマッチした法令や知識並びに技術をブラッシュアップすることを目的とした、免許講習を受講しながら一生涯にわたり当該業務に従事します。
電気主任技術者、電気工事士の資格があれば、現時点では比較的安定した生活設計が可能となります。どの時代も経済の好不況の波はあるのですが、いつの時代でも引き手数多の有望な国家資格だと考えられます。
特筆すべきは、両資格とも関連資格と組み合わせることにより転職等で有利に展開できます。

電気技術関係国家資格取得方法について

(1)電気主任技術者国家試験

電気主任技術者試験の取得方法は、経済産業省所管の電気技術者試験センターが全国において、年1回電気工学に関する筆記試験がマークシート方式により行われています。試験の難易度は、第三種電気主任技術者が工業高校卒程度、第二種電気主任技術者が短期大学電気工学科卒程度、第一種電気主任技術者が大学卒電気工学科程度となっています。
筆記試験受験によらないで電気主任技術者国家資格を取得する方法として、経済産業大臣が認定した工業高校電気科、短期大学、大学、高等専門学校で電気工学に関する学課を履修し、当該教育機関を卒業した後、就職先として電気工事会社や受電設備に関連した電路を管理監督する会社に就職し、一定期間の職務経歴をつけることで第三種電気主任技術者の国家資格が申請により取得できます。先ずは登竜門である第三種電気主任技術者を上述した何れかの方法で取得し実務経験を重ね、上位資格である第二種電気主任技術者、第一種電気主任技術者へのキャリアアップが可能となります。
電気主任技術者試験の特徴は、実務経験を重要視していることが国家試験制度に如実に表れています。最初苦労してでも、電気主任技術者の登竜門である第三種電気主任技術者国家資格を取得すれば、上位の第二種、第一種電気主任技術者資格取得の展望が開けます。電気主任技術者国家資格は、社会的評価が極めて高く知識や身につけた技術は一生物です。とかくIT系国家資格ではありがちな、技術進歩の早さ故の、技術や知識の陳腐化はありません。 

(2)電気工事士国家試験

第二種電気工事士試験

第二種電気工事士試験は、経済産業省所管電気技術者試験センターが実施します、年2回のマークシート方式による筆記試験と技能試験があります。同資格の合格率は50パーセント前後です。工業高校電気科卒の学力があれば合格できる国家資格です  

第一種電気工事士

第一種電気工事士筆記試験に合格し、電気工事の業務を通算3年以上実務経験を積むことにより取得できます。

筆記試験受験によらないで第一種電気工事士国家資格を取得する方法として、大学電気工学部において電気工学に関する学課を履修し、当該教育機関を卒業した後、実務経験をつけるため電気工事会社において電気工事業務に5年間以上従事することにより、第一種電気工事士資格を書面申請し、当該資格審査を通過することにより取得できます。
電気工事士国家試験も、電気主任技術者国家試験と同様に実務経験を重視しています。電気工事士の適性を挙げると、手先が器用なこと及び高所作業を伴うことが多いので高いところで作業することに違和感のない人が向いています。

電気技術に関連した国家資格について

(1)ボイラー技士
(2)消防設備士
(3)電気通信設備工事担任者
(4)危険物取扱者

これら関連資格を持つことで転職活動が進めやすくなります。