近年、企業ではITに関連する課題が多いため、ITコンサルタントのニーズが高まってきています。上流工程を担当することやその年収の高さから、エンジニアからITコンサルタントを目指したい人も多いのではないでしょうか。今回はITコンサルタントに求められるスキルや要素を<IT知識>と<ポータブルスキル>に分けて紹介し、また、その中でも市場価値をあげ、年収を挙げるために必要なことについて説明していきます。
IT知識・スキル
ITに特化して強みを持つコンサルタントですから、IT全般の知識は特に求められます。ITといっても範囲が広いですが、ここではメインとなる5つの要素について説明していきます。
基礎知識
まずは基礎知識として、システムに関する理解や経験を見られます。システムの概念を理解しているという証拠である基本情報技術者や応用情報技術者の資格などは取得しておくとよいでしょう。資格取得していなくても、自己学習や実務経験の年数なども判断基準となります。実務経験が短い場合でも、情報関連の専門学校や学部卒業であれば、基礎力を有していると判断されることがあります。
言語の種類
実際の業務では、どのような言語で、どのような開発をしているのかが重要となります。言語でいえばJavaやC#などのオープン系の言語は一般的に評価されますし、会社によってはそれ以外のCOBOLなどの言語も必要とされます。言語を触っていなくてもBIツールやSQLなどの経験は近年ビッグデータの需要が高まっていますので、経験を生かせるかもしれません。
開発工程
これまでの業務において、どの工程を担当しているのかという点も重要です。ITコンサルタントですからテストや保守開発などの下流工程よりも、要件定義などの上流工程の経験は評価されやすいと言えます。顧客折衝でも特に課題の特定や整理などの経験があれば即戦力となりますが、システムの打ち合わせや要件の確認、各部署との調整などの折衝経験は十分活かすことができるでしょう。
システムの種類
工程も重要ですが、開発しか経験がない人でもITコンサルタントで活躍している人はいます。開発そのものを理解していることは仕事をしていく上で武器となる要素です。システムの種類では、小規模なシステムやツール開発よりも、プロジェクトにおけるメインシステムや大規模なシステムの開発経験が求められる傾向にあります。
業界・業務知識
業界・業務知識も重要になります。業界知識は金融業・小売業・流通業などの業界特有の知識、業務知識は会計・顧客管理・在庫管理など仕事の種類にあたる知識です。1つのシステムを数年経験している場合には、その業界や業務の仕事の流れを理解していると言えます。
ポータブルスキル
ポータブルスキルとは、‘持ち運べる’スキル、すなわちその人自身が本来持っているベースの能力のことを指します。ITコンサルタントには前述したITに関する知識だけではなく、このベーススキルがとても重要です。
コミュニケーション力
コンサルタントとして難易度の高い顧客折衝が発生しますので、相手ときちんと論点を整理して会話ができるのかという点は重要です。たまに面接で自身のコミュニケーション能力を強みとしてアピールする方もいますが、コミュニケーション力があるかどうかは面接官が判断するものですので、面接の場でのアピールは避けたほうが無難です。
なお、エンジニアからコンサルを目指すケースにおいてはコミュニケーションスキルに不安のある方もいらっしゃいます。コミュニケーションスキルの重要性やその中身についてはエンジニアでコミュニケーションが苦手な人はどうすればいい?のページでも記載しておりますので参考としてご覧ください。
ロジカルシンキング力
コミュニケーション力とも似ていますが、ロジカルシンキング力も重視される能力の1つです。例えばフェルミ推定(実際に判断がしにくい回答を、論理的に推論する問題)などを用いて論理力を試す採用試験もありますが、それくらい、コンサルタントにとってロジカルさは必要と言われています。問題解決の中で、いち早く問題をとらえて解決に導くことができる能力を求められています。
プロフェッショナルマインド
マインド面では高いプロ意識が求められます。大企業相手に難易度の高いIT課題を解決する必要があるので当然ですが、課題解決まで諦めない粘り強さ、瞬時に判断して自分で責任をとるという覚悟、他責ではなく自責で物事をとらえる視点、全体を見渡し物事を自分事化する力など、プロとして仕事に対する意識の高さは必要とされます。
より市場価値をあげるために
ここまでITコンサルタントに必要な能力について列挙してきましたが、すべての能力を保有していなくても、ITコンサルタントとして活躍している人は存在します。しかその年収は500万円程度の人から1000万を超える方まで様々です。より市場価値を上げ、年収を上げていくためには、上記はスキルの一例ではありますが、すべて網羅し、それぞれの分野で能力を高めていくとよいでしょう。
例えば、ITの基礎知識であれば、自身の経験している開発関連の資格を取得してみたり、システムの種類であれば大規模で難易度の高いプロジェクトを積極的に経験してみたりするなど、自分の能力を高めていくことができます。また業界・業務知識で言えば、基幹システムやSAPなどの業務理解はニーズが高くなっていますし、会計知識もどの会社においても必要なため、簿記などの資格取得や学習は業務に役に立つでしょう。ただし、これまで業務で経験してきていないのに、机上で勉強をしても武器にはならないため、これまでの経験と則した内容で、自身の能力開発を進めていくことをおススメします。
いかがでしたでしょうか。
ITコンサルタントに求められる能力は多岐にわたりますが、IT業界での経験があれば、その仕事は手が届くところにあります。ぜひご自身のスキルを棚卸し、チャレンジしてみてくださいね。
ITコンサルの概要や企業一覧・年収ランキングに関しては、以下のサイトの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:「ITコンサルとは?企業一覧・年収ランキング・激務の実態を解説|コンサルキャリア – 20-30代のためのハイキャリアメディア」