DTPオペレーターの転職・求人動向

今回は、DTPオペレーターについて解説します。一体どのような仕事をして、どういった待遇があるのか、そして現在のDTPオペレーターの求人情報はもちろん転職・求人動向についても解説しているので参考にしてみてください。

DTPオペレーターとは

DTPオペレーターとは、デザイナーが仕上げたデザインデータをルールに従いながら、印刷物として出力可能にするためにパソコン上でデータを作成するのが主な仕事です。DTPには特有のルールがあるので、まずはそれをしっかりと把握することが必要です。文字詰め禁則処理、フォントに対する知識やルールを覚えていなくてはいけません。少しでもルールから外れると想定した通りに色がでなかったり、レイアウトが崩れてしまうことがあるため、とても重要な役割といえます。

DTPオペレーターの年収・給与

そんな厳しさが目立つDTPオペレーターですが、平均月給は約17,8万~30万程度となっており、平均年収で換算すると約450万円となります。特に未経験だった場合、最初にやる仕事は印刷機に指定の用紙をセットしたり、完成した印刷物を運んだりするなど雑務が多いです。その分、給料も安めに設定されているのは仕方ないのかもしれません。

経験を積んでいくことによって少しずつ給料も上がっていきます。しかし、爆発的な上昇はほとんど見られません。提携先の企業の状態によって売上も左右されることが多く、その場合給料が上がらないケースもあります。ただし、様々な種類の印刷物を取り扱う大手の印刷会社であれば、それなりの年収を見込むこともできます。

残業や休みについて

こういった業界には納期や締め切りといったものが常に付きまとっています。そうなれば当然、残業や夜勤などもしなくてはいけません。残業代に関しては会社によって形態が違うので、きちんと確認しておきましょう。休みに関しては、基本的に工場が営業していない土日などが多いです。

離職率

総務省の発表によると、平成26年のパルプ、紙・紙加工品製造、印刷・同関連業の離職率は新規大卒就職者が28.5%、新規高校卒業者は25.8%、新規短大等卒業者は29.5%となっており、大体3割の人がやめていく計算になります。紙媒体の需要が減っているため、Web業界等へとキャリアチェンジされる方もいらっしゃいます。以前までは、印刷物があって、それをwebへ落とし込むという作業が多かったのですが、昨今はwebでのプロモーションありきで紙媒体へと落とし込んでいくことも多く、web用のデータから印刷媒体へのデータへと作りかえていく業務も少なからず存在しています。DTPオペレーターだった方がデザインとコーディングの勉強をして、webも含めたトータル的なデザイナーへと転職されるケースもあります。

DTPオペレーターに必要なスキル

では、DTPオペレーターになるにはどのような資格やスキルが必要になってくるのでしょうか?
IllustratorやInDesign、Photoshopのスキルは必須です。「色調調整」などの業務が多くなるので、そうした知識も必要ですし、「紙」に関する知識も必要です。同じデータで出力しても、用紙の種類によって、色の沈み方や発色が異なるため、そうしたところまで把握しておく必要はあるでしょう。
また、印刷物は一度世の中に出てしまったら、修正することができません。ミスの許されない業務のため、正確性が求められる仕事でもあります。

また、知識が重要な職種のため、資格や検定試験を受けることで、転職に対する優位性は高くなります。以下に代表的な資格・検定を紹介します。

印刷技能士

これは国家資格になります。印刷技能士の資格には1級と2級がありますが、どちらを取得するにしても条件があります。それが実務経験です。2級であれば実務経験が2年以上、1級であれば実務経験が7年以上、もしくは2級を取得してから2年以上となっています。試験内容は学科試験と技能試験があります。

DTPエキスパート

DTPの知識と、製版印刷の基礎知識に重点が置かれている認定です。年に2回ほど行われており、合格者は2万人を超え、歴史の長いものになります。

DTP検定

DTPエキスパート似た名前ですが、こちらはDTPエキスパートよりも専門的な知識を試されます。DTPデザイナーとしての適性も見られるので少し難しい検定となっています。

DTPオペレーターの転職・求人動向

現在、DTP・印刷業界は需要が減っています。その原因となっているのがIT技術やWebメディア媒体の進化です。紙媒体そのものを読まなくても簡単に無料で情報が手に入る時代になってしまった弊害とも言えます。そういったことから、印刷物の需要は少なくなり、webへとシフトしているのが現実です。

そのため、DTPオペレーターの転職事情は少し厳しい状況が続いています。募集している企業も少なくなった上に給料も下降傾向にあります。
しかし、募集している企業ももちろんあります。DTPオペレーターとして働きたいのであれば、競争相手も少なくかえってチャンスかもしれません。

DTPオペレーターの転職とキャリア

DTPの職務経験は他業種で活用することが難しいため、他の職業に転職したいとなった時にアピールポイントとして使えるものは少ないと思われがちですが、プラスアルファで関連する分野の勉強をしてスキルを身に付ければ、他の職種として転職することも可能です。デザインやHTML、CSS等を学んで、グラフィックデザイナーやWebデザイナーに転職する人もいます。こうしたプラスアルファのスキルを身に着けることで、他の職場や業界でも活躍出来るでしょう。デザイナー含め、転職市場は売り手市場が続いており、比較的経験の浅い方でも転職がしやすい状況が続いているため、現在の市況であればDTPオペレーターとしても他の職種としても転職は可能な状況です。ただし、年齢にもよりますが、DTP技術だけでは多職種への転職は厳しいのが現実ですので、スキルアップを目指しましょう。

まとめ

ITやWebが発達したことにより、DTPオペレーターを必要とする出版・印刷業界は厳しくなりつつあります。確かに紙の雑誌や書籍の需要は減りつつありますが、一方でパッケージの印刷やそのほかの特殊印刷の分野では伸びているものもあります。厳しいといわれている業界ですが、伸びているものもあり、また、紙の需要が無くなることはありませんので活躍の場面はあるはずです。
広い視野で転職を考えたいという場合は、DTPオペレーターとしてのスキルを高めつつ、周辺分野にも目を向けてスキルアップを目指すことで、キャリアアップ・キャリアチェンジも可能でしょう。