Webディレクターのキャリアパスとスキルアップについて

webディレクターの仕事と言っても、会社の規模、スタンス、サービス内容等によって、担当する仕事は大きく変わり、面白いほどに多岐に亘ります。

webディレクターの方はやらなければいけないことがたくさんある上、クライアントやエンジアニア・デザイナーとの間に立ち、プロジェクトの納期に追われ忙殺される日々だと思います。
そうやってプロジェクトをいくつか経験し、少し自分の仕事に自信がつきだした頃に、ふと直面する“自分のキャリア”に対する不安。

これからのキャリアについて、不安を持つ人は世の中にたくさんいます。世間一般からすれば、IT業界はまだまだこれからの分野で、何も不安がないのではないかと思われるかもしれない(webディレクターって肩書きも何となく格好良く聞こえるし)。しかし、20代〜30代前半のwebディレクターが共通して直面する“自分のキャリア”に対する不安。このテーマについて、なぜこの不安に直面するかを説明し、おすすめするキャリアパス・スキルアップについて共有していきます。現在“自分のキャリア”に対する不安で悩んでいる人だけでなく、これからwebディレクターを目指そうとしている人にも読んでいただき、早期の段階から自分のキャリアに向きあう機会としていただけるとありがたいです。

なぜ“自分のキャリア”に対する不安が生まれるのか

究極のところwebディレクターは『何でも屋』だから

webディレクターなんて格好良い肩書きがありますが、究極のところweb業界の何でも屋です。冒頭でふれましたが、webディレクターの仕事は多岐に亘るため何でもできなければいけません(実際は、何でもやらなければいけないという方が正しいかもしれません)。
担当しなければいけない業務がたくさんあるのに、何でもできなければいけない。これは裏を返せば、それぞれの業務に深い知識や高いレベルを求められていないということです。エンジアニアやデザイナーには深い知識や専門性に基づく高いレベルのアウトプットが求められます。なぜなら、それはプロダクトやサービスのクオリティに直結するからです。
プロダクトやサービスのクオリティは下げることは絶対に許されません。しかし、誤解を恐れずに言えば、webディレクターが深い知識や高いレベルのアウトプットができなかったとしても、大きな問題になりません。なぜならそれは、プロダクトやサービスのクオリティに直結しないからです。
webディレクターはクリエイティブ側ではなく、マネジメント側で調整役等の仕事がほとんどです。色々なプロジェクトを経験して、仕事の領域も広がっていきますが、ふと我に立ち返ったとき、何かに特化したこれと言えるものがなく、急に自分のキャリアに不安を覚えるようになります。目まぐるしく移り変わる業界で、IT技術は日進月歩で発展していく。しかし、自分にはこれという専門分野がないに中で、その状況の変化についていくことができるのか。そうやって、自分のキャリアに不安を覚えていく。

Webディレクターにおすすめするキャリアパス・スキルアップ

マネジメント側を目指す

何でも屋のwebディレクターの中には、自分でちょっとした修正対応等ができた方が話が早いということで、プログラミングやデザインができる人が少なからずいます。プログラミングやデザインに興味があるなら、クリエイティブ側にキャリアの舵を切るのも良いでしょう。しかし、その場合、自覚しておかなければいけないことが2点あります。

学習コスト

学習コストとは、つまり“時間”のことです。プログラミングやデザインが
仕事で使えるようになるまでに要する時間=学習コストです。「時は金なり」という言葉があるように、時間はお金と等価或いはそれ以上の価値あるものです。大人になってからの知識やスキルの習得は、本人が思っているよりも困難なものです。稀に才能を発揮して、爆速で成長していく人もいますが、このような人はほんの一握りです。この学習コストまで払ってまで、身に付けたいスキルや進みたいキャリアなのか、よく考える必要があります。

キャリアの再構築

当然ながら、エンジアニアやデザイナーに転身することは、今まで積み上げてきたキャリアを再構築することになります。多くの場合、他の会社に転職することが想定されるが、そうなればまた0から実績と信頼を積み上げていかなければいけません。同じ会社内での職種の変更でも、人間的な信頼度はあっても、プロのエンジアニアやデザイナーとしてはペーペーとして見られます。これはもしかすると、学習コストを取るよりも、大きな問題かもしれません。

以上のように、エンジアニアやデザイナーへの転身は、ある程度のリスクがあることを十分に理解して欲しいです。

では、エンジアニアやデザイナーを目指していない人はどうすればいいか。それは“マネジメント層”を目指すことをおすすめします。
webディレクターの人ほど、マネジメントの素養があり、キャリアアップのチャンスがあります。経験してきた担当業務にもよりますが、webディレクターはプロダクトやサービスの要件定義の上流工程から、リリースまでのマーケティング等の下流工程も携わることが主で、全体の流れがわかっていることは、エンジアニアやデザイナーとは一線を画す強みであります。これはまさにマネジメント側に立った際に、大きな財産となってあなたの業務をサポートすることになるでしょう。マネジメントの人間は、予算を確保し、適正な人材を配し、プロダクト・サービスのリリースまでの責任を負います。予算を算出するためには、プロジェクトの過去の経験から工数を割り出す必要がありますし、適正な人材を排するためにも、現場のエンジアニアやデザイナーの過去のパフォーマンスがどういうものだったか評価する必要があります。
つまり、webディレクターの仕事はマネジメントを行うために欠かせない要素ばかりなのです。webディレクターの仕事はサービスのクオリティに直接影響しないといいましたが、webディレクターがいなければ、プロジェクトは上手く回っていきません。そういう意味では、今の業務や経験に自信を持ってください。そして、早い段階でマネジメント側に回って、現場で得たwebディレクターの経験を活かして、たくさんの良いプロダクトやサービスを提供されていくことを楽しみにしています。