グラフィックデザイナーの面接対策 どのような質問をされるの?

面接に来られる方には大きく分けて、
新卒(実務未経験者)と中途採用(実務経験者)と二通りあると思いますが、それぞれのケースにおいて、質問内容も変わってきますので、分けてみていきたいと思います。

グラフィックデザイナー未経験の方の面接対策

まずは実務未経験者の面接対策についてお話しします。
実務未経験者にも、新卒で芸術系の大学・専門学校卒業者と全くデザインに触れた事もない方の二通りいます。

学校などでデザインに触れてきた方

学校等でデザインについて勉強した方は、学校で制作した作品の提示を求められます。ですので、面接を受ける会社がどういったジャンルの仕事を主にしているのかを可能であれば調べた方が良いでしょう。
例えば、主にスマホゲームのデザインを制作している会社にチラシやフライヤー、ホームページの作品ばかり持って行っても面接官はあまりじっくり見てくれないので、例えば、スマホ等で使えそうなキャラクターやアイテムのイラスト作品を多めに用意した方がいいでしょう。もし作品がなければ、面接前にキャラクターやアイテムのデザインなら作って用意する努力もできればした方が良いのかもしれません。広告などの仕事が多い会社ならチラシやフライヤー、パンフレット等、商業デザインに使えそうな作品を用意した方が良いと思います。
そして実際面接で質問されそうな事は、

提示した作品についてどこからどこまで自分で制作したのか、
どこまでその作品に関与したのか、

という部分です。
例えば、パンフレットで言えば、ラフが用意されていたのか、撮影の立会いに行ったのか、コピーは
自分で考えたのか、レイアウトが用意させていたのか、といった事は聞かれると思います。
というのも、他人が制作したものを少し手伝っただけなのに、あたかも自分で全て考えて制作したような感じで作品を持ってくる方がいるからです。逆に全て自分で制作したならば、「簡単なコピーなら考える事ができる」「撮影に立ち会えるならコミュニケーション能力がある」「クライアントからのいろいろな修正や希望にも柔軟に対応できる」といった評価になりえます。

部分的な関与であったり、共同制作であったりする場合は、自身がどの部分を担当し、どのようなことに注意をしたのか、話ができるようにしておきましょう。

その他、コミュニケーション能力も重要視されると思います。
この仕事はクライアントからの無茶な要求や、理不尽な修正依頼も多くなりがちで、言われたままに仕事をしていては、労働時間も長くなりますし、最初に出したデザインよりも修正でかっこ悪いものになってしまうことも少なくありません。
ただ、クライアントも悪気があるわけではなく、デザインについての知識がないゆえに、おかしな修正依頼をしてしまうこともあるため、なかなか難しいのです。そのため、クライアント(もしくは社内のディレクター)としっかりコミュニケーションを取り、デザインの方向性を間違わないようにしなければなりません。デザインを最初に提出する際に、デザインの意図や背景について説明しておく必要もありますので、どのような考えでそのようなデザインになったのかは説明できる必要があります。そのため、最低限のコミュニケーション能力は必要となります。

商業物のデザイナーになる場合、クライアントが目指すものを理解し、それを達成するためにベストなものをアウトプットする必要があります。
そのため、デザインスキルも重要なのですが、相手の意向を汲み取るためのコミュニケーション能力(理解力)も大切なので、こうした部分もアピールできるようなエピソード等も考えておくと良いでしょう。

未経験者の場合

実務経験がない、学校等でデザインを学んだ事がない、パソコンソフト(illustrator・Photoshop等)も学んだ事がないという完全な未経験者は、やる気がどの程度あるのか、なぜこの仕事をしたいのかが最も重要なポイントになります。
覚えることも多く、非常に大変な仕事なので、なぜこの仕事がやりたいのか、その「動機」が弱いと採用される可能性は低くなります。
面接官に熱意が伝わるかどうかが生命線になってくるかと思いますので、例えば雑誌だったりスマホの画面だったり好きなデザイン・やってみたいデザインの切り抜きを持参するなど、作品がないなりにできる事はあるかと思います。
なぜこの仕事をやりたいのかという動機とそのために何をしているのか、なぜこの会社に応募したのか、このあたりを熱意をもって伝える必要があります。

グラフィックデザイナー中途採用(経験者)の面接

次に中途採用(実務経験者)の場合ですが、もちろんこちらは過去の作品を持参していかなければなりません。ポートフォリオに見やすくまとめて、応募先企業に合いそうな作品を持っていく事をおすすめします。面接官がポートフォリオをめくっていく際に、それはどういった作品でどのくらい時間がかかった、どういったところに苦労したなど、タイミングよく面接官に伝えることで、そこで単純に作品の評価だけでなく、コミュニケーション力も評価されるはずです。パラパラめくられて終わりではなく、その説明の間にじっくり見てもらう目的もあります。
なお、ポートフォリオや職務経歴書の書き方は、こちらのグラフィックデザイナーの職務経歴書とポートフォリオの書き方でも解説しておりますので、こちらもあわせてご確認ください。

あとは言うまでもありませんが、これまでの経歴についての説明、志望動機などは当然聞かれますので、きちんと答えられるようにしておきましょう。
その他よくある質問としては以下のようなものがあります。

・好きな(影響を受けた・興味を持った)デザイナーはいるか?
・好きな作品(映画や小説、漫画等)はありますか?
・ポートフォリオに掲載した作品に関する質問

好きな(影響を受けた・興味を持った)デザイナーや好きな作品(映画や小説等)に関する質問の意図としては、
あなたの好み(癖)やセンス等を知るために質問しているケースが多いです。
ポートフォリオに作品を掲載していますが、やはり人間ですので、好みや嗜好による癖というものも少なからずありますので、そういった部分を見てくるケースもあります。また、あなたがどのような過程を経て今のデザインに至っているのかを見ることで、デザイナーとしての完成度も知ることができますので、意外と重要な質問項目になります。注意点としては、最近の流行りに合わせれば良いとかそういうことではなく、あくまであなたのことを知るための質問になりますので、好きな作品やデザイナー等は正直に答えるようにしましょう。大切なことは、なぜそれが好きなのか、それを受けて自分の考えはどうなのか、しっかりと論理展開できることが重要です。
なお、好きなデザイナー等は必ずしもグラフィックデザイナーである必要もありませんし、現在生きているデザイナーである必要はありません。あなたが影響を受けたものを答えれば大丈夫かと思います。
面接の前にしっかり振り返っておくことをお勧めします。

ポートフォリオに掲載した作品に関する質問は、上記で記載した通り、コンセプトやデザインをするにあたっての思考の過程を確認する目的のものが多いです。
こちらに関しても、過去の仕事を振り返りながら、どのようなプロセスを経て完成されたものなのか、一度振り返っておくと良いでしょう。