着物の紋にはどんなものがある?紋による違いは?

着物の紋や紋の種類、数によってフォーマル度合いや着用する場面が変わってくるという話は聞いたことがあるかと思います。

例えば家紋を用いた紋に関しても、礼装用とおしゃれ用の紋と両方あったりします。

では、紋の種類によって着物の格やフォーマル度合いはどのように変わってくるのか?

簡単に見ていきたいと思います。

家紋・礼装用の紋

「紋付き」という言葉をよく聞くかと思いますが、家紋は、黒留袖といった「紋付き」の着物に必要なものです。

古来、衣裳に家紋をつけることで身分を明かしていた歴史がありますが、現代においては、第一礼装・不祝儀の第一礼装の着物である黒留袖や黒喪服に紋(第一礼装の場合染め抜き五つ紋)を入れることになっています。

なお、この紋も入れ方によって格が分かれ、抜いよりも染めの方が格が高いとされています。

また、紋の形を白くする「日向」と輪郭だけを表現する「陰」がありますが、「日向」の方が格が上になります。

そのため、「染め抜き日向紋」がもっとも格式が高い紋とされています。

ちなみに、貼り紋というものもあるのですが、生地を上からワッペンのような感じで貼り合わせるものがあります。
色が抜けない時などは貼り紋を使います。

格式の高さとしては、染め抜き、抜い、貼りの順番となります。

しゃれ紋と呼ばれるおしゃれ用の紋

家紋を用いたものでも、家紋をデフォルメしておしゃれに見せたりするものはお洒落用の紋となり、格とは関係ないものになります。
家紋ではなく、別の紋をデフォルメしたものに関しても、単なるおしゃれの一部として使われ、いわゆるしゃれ紋となります。

例えば、オリジナルでお花をアレンジしてデザインした紋を用いることもありますが、どんなにかわいらしくきれいにアレンジしたとしてもそれはおしゃれ用となり、このおしゃれ用の紋は着物の格とは関係がありません。

紋の数や種類は着物の格にどのような影響があるのか?

紋の数は5個、3個、1個、無数のパターンとなります。数が多いほど格が高くなります。

そのため、染め抜き日向紋を5つ入れる黒留袖は高い格式の礼装となります。

紋の種類でいくと、例えば染め抜き紋は格が高いので、改まった場面で着る着物に入れる紋となります。

礼装なのかカジュアルなのか、場面ごとに紋の数、種類は変わってくるのです。

紋の種類まとめ

ここでは簡単に紋についての基礎知識をまとめさせていただきました。
最後に、紋の種類をまとめておきますのでご参考ください。

染め抜き紋

紋の形状を染め抜いたものが染め抜き紋とされ、
紋の形を面で染め抜いたもの(白い部分が多く見えるの)が日向紋です。白が多く明るく見えるという風に覚えておけばよいかと思います。
紋の輪郭を染めたもの(着物の地色が多く見えるの)が陰紋となります。

 

縫い紋

刺繍形式の紋が縫い紋となります。

縫い方は着物に合わせて選ぶことが出来ます。

こちらも日向紋と陰紋があります。

しゃれ紋

文字通りお洒落や楽しむことを目的とした紋となります。
オリジナルの着物を作ることができ、花等をアレンジしたものが多い印象です。

加賀紋や友禅紋とよばれるものがあり、種類がたくさんあります。
多色使いで楽しんで使うことも多いです。